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それは何気ない朝、のはずだった。
俺はベッドの上で寝返りを打ち、目は開けずとも意識だけが起きた状態で、もぞもぞとしながらではあったが二度寝を決め込むつもりでいた。
今日は仕事も無いし、休日なんだ。
明日からはまた仕事だし、いつも早起きしてる分、昼過ぎまで睡眠に時間を費やしたい。
おやすみ。
俺の意識は真っ暗闇へと徐々に溶けていく。黒から深い黒。
深い黒からより深い黒と、穴に落ちていくあの感覚。
しかし、その感覚に横槍を入れるように、鼻の頭がむず痒くなった。
当然、俺は無意識に鼻の頭を掻く。
ぺた。
爪を立て、上下に擦った。
くねくねくねくね。
全くもって痒みは引かず、むしろ鼻の頭で変な感触がする。
真っ暗闇に溶けようとしていた俺の意識は、鼻の痒みと変な感触の2つの不快感によって揺り起こされていった。
何で痒みが治(おさ)まんないんだよ。
爪で掻けない程に、深爪した記憶は無いぞ?
俺は逆の手も使って、両方の指を使い、全力で掻く。
ボリボリボリッ!
すると鼻の痒みは治まったものの、次には激痛が走った。
痛い。
力の加減が出来てなかった。
でも、ちゃんと掻けるじゃないか。
もしかしたら本当に深爪にしてしまったのかもな。
さて、痒みも引いたことだし、寝よう。
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