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俺は再び寝返りを打って、腕組みしながら眠りに着こうとしたその時だった。
またもや、俺は変な感触に苛まれる。
もう何なんだよ……
俺はむくりと顔だけ上げて、寝惚け眼を覚ますように目を擦る。
ん?何かが変だ。
いつもなら入らない瞼の間にまで入り込んで、眼球をやたらと刺激する。
気持ち悪!
俺は顔を左に反らし、虚ろな目で周りを見た。
いや、見ようとした。
左から右へと視線を移すと、訳の解らない物があった。
茶色い物体が目の前に存在している。
「うわぁぁぁあッ!」
俺は大声を出してベッドから転げ落ち、その場から離れようと仰け反ったにも関わらず、茶色い物体は俺から離れない。
俺は後ろに這いずり続けたが、次第に壁にぶち当たる。
それでも尚、茶色い物体とは距離を取れない。
これが何なのか不明な時点で、かなりの恐怖だ。
俺はじっとした。
動くという事は何かの生物なのは違いない。
だったら様子見だ。
俺は動くのを止め、目だけを動かし、茶色い物体を見る。
まじまじと見るとそれは尻尾の様で、周りには"ひらひら"してるものがある。
てか、これは絶体絶命じゃないか?これがもし尻尾だとして、このサイズの尻尾ってことは胴体の大きさはどうなる?
俺は考えてみた。
しかし、さっきまで寝てたのもあって想像が追い付かない。
全長を見なければどうしようもないが、これは死と隣り合わせな気がする。
運が悪ければ10秒とない内に、俺はこの世から消えてしまうかもしれない。
例えそうだとしても俺がまた動けば、この茶色い生物もまた俺を狙い、再び動くことだろう。
俺はまず、この茶色い生物が何なのか、それを知ろうと、視線を尻尾から胴体の方へと移した。
だけど、どんなに視線をずらしても胴体が現れない。
尻尾が思った以上に長い。
ヤバイぞ。
何故だかは判らないが俺の部屋には今、巨大生物が居る。
そんな事が頭に過(よぎ)りながらも、俺はこの生物が何なのかを探るのは止めない。
生物を見る。
視線をずらす、そして見る、ずらす、そして見る、ずらす、そして見る、ずらす。
そして顔が来た。
えーっと……はい?何こいつ?
何で胴体無しで顔が来てるの?しかしこの時、こいつが何なのかよりも、気になる光景が飛び込む。
それはその生物の顔の先だった。
そして戦慄する。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁあッ!」
俺はこの朝、2度目の悲鳴を上げた。
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