その恋は、Destiny

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「で?飯は何食べたいか決まった?」 「あ、うん!あのね、いろいろネットで検索してみたんだけど、この近くに凄く美味しいって評判のうなぎ屋があるんだって!」 「うなぎか。いいね」 私はお酒が体に合わないし、棗くんもお酒は弱い方だから二人で飲みに行くなんて事は滅多にない。 どこか外食するといえば、お酒よりも美味しいご飯が食べれる場所をメインで考える。 今日は国家試験合格のお祝いだから、棗くんに甘えて一番食べたいものをおねだりしてみた。 「あのね、私、うなぎ屋でひつまぶし食べるの夢だったの」 「何その夢。ていうか、そんなに食べたかったならもっと早く言ってくれれば良かったのに」 「だって…うなぎって高いし…」 「そんな値段とか気にしなくていいから」 呆れたように返ってきたその言葉に、あ、何か怒らせちゃったかな?と思ったけど。 次の瞬間、棗くんは何がツボに入ったのかブハッと豪快に笑ってみせた。 「な、棗くん?」 「あんたってさ、本当に何も変わらないよね。付き合い始める前から、ずっと」 「………」 可笑しそうに喋る棗くんをぼんやりと見つめながら、何の事を言われてるのかわからなくて多分アホな顔をしていたと思う。
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