あとがき

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 この小説の出発点は、僕自身が家の鍵をなくしたことから始まりました。  僕の家も鍵がそれなりに高価な物で、新たに作るのに手続きに手間が掛ること、それなりの料金が発生することから敬遠していました。それで、他の家人から鍵を借りる生活を送っていた次第です。  そう、作中の被害者、大田正英のように。  そんなある日のこと、僕の弟が外出している僕に自宅から電話を掛けてきました。この弟がかなり御し難い男なのですが、なんでも自分の鍵が見当たらないとのこと。兄である僕が持っているのではないかと疑っているふうでした。  さて、前提となる話ですが ①僕は昨日、弟に鍵を借りていた。 ②昨日のうちに所定の場所に返却した。 ③当日は父の鍵を借りていた。  僕の反論は以上を説明したのち、 「すでに父に鍵を借りているにも関わらず、さらにもう一本借りる必要性はない。返却する場所は常に乱れているから、何かの拍子に紛れてしまったのだろう」 と返答しました。実際はもうちょっと何か言った気がしますが。  それで弟は納得して、電話を切りました。ちなみに鍵は僕の指摘通りの場所で見つかったらしい。  さて、このやりとりのあと、(これ、ミステリーに使えるかも)と思い、『鍵の貸し借りを題材に論理的な推理小説を書く』ことにしました。  書き上がったものを読んで、どうだったでしょうか?  僕としてはもっと面白い物になると思っていたのですが、ちょっと微妙な出来な感があります。力量不足です。                     2016.8.13
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