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「あの担任に?」
「そうそう。俺、どうしてもこの高校に入りたいって言ってただろ? 実はそれが理由」
この高校に入りたいことは、受験の時に話していた。
ハーレム生活がしたいからなんて言えないから、入学したい理由は彰に話していなかった。
それを利用しよう。
少しばかり事実を混ぜれば、真実味も増す。
「ふーん。あの担任にねえ……」
彰は担任の方を見た。
あんなくたびれたむっさいオッサンに憧れているなんて思われたくはないが、背に腹は変えられない。
これ以上、追及されなければいいのだ。
「早乙女はいないのかあー!」
担任がまた彰を呼んだ。
「ほら、担任が呼んでるんだから早く行けよ。何か大事なことかもしれないだろ」
「……そうだな」
納得したのか納得してないのか。
若干、怪しむような目をしていたが、彰は立ち上がり担任の元へ向かっていった。
「ふぅ。しつこかった」
俺はわざとらしく額の汗をぬぐった。
せっかくこの高校に入れたのに、彰にバレてハーレムフラグが折れては困る。
ハーレムを作りたいだなんて、女の子の好感度が下がることはあっても、上がることはないだろう。
俺の今までの人生はハーレムのために費やして来たのだから、ここはなんとしてでも成功しなくてはいけない。
成功した先に待つのは美少女との……グフフフ。
思わず顔に漏れた笑いをカバンに伏せて隠しながら、俺は一人ニマニマと笑い続けた。
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