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先輩宅にいたこの女はアルコールに弱いらしく、俺がお邪魔した時にはすでにほぼ潰れていた。
摂取した量を聞くと、こんなになるほどの量ではなかったので、アルコールに弱いのは本当の話なのだろう。
「水飲んで少し落ち着いたら帰れよ？」
この女は先輩の奥さんの友人で、以前から名前は会話の中で聞いていたが、実際に会ったのは今日が初めてだった。
「ねーねー」
「……何だ」
「あんたの名字ちょーだい」
この女は、雲母という珍しい名字にコンプレックスを抱いているらしく、口を開けば“名字をくれ”と言う。
先輩宅にいる時からこの調子で、出来れば関わり合いたくなかったが、先輩と奥さんの手前、「送って行きます」と言わざるを得なかったのだ。
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