北上。

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 スワロー国ロックカット出身。 国鉄職員エレナ=ファルッシ。 通称エレナ・エレちゃん・マメダヌキ。 尤も、マメダヌキという愛称のみ親友と譲り合って… 否、押しつけ合っている最中なのだが。  そんな彼女が今どこにいるのかと言えば、北島の玄関口ことブルフォレスト駅のホームに、アップフィールド発の夜行列車から降り立ったばかりである。 季節が冬ならば異世界某国の歌が如くブルフォレスト駅は雪の中なのだが、春も中頃となった今当然雪は見当たらなかった。 尚、北に向かう人は誰も無口という訳ではない。 この世界と某異世界との共通点は少なくはないが、異なる点もまた少なくはないのだ。  ブルフォレスト駅のホームに降り立ったエレナが次にしたこと。 それは異世界某国で言うところの乗り鉄と見紛う程コンパクトに纏められた荷物を背に、ブルクス連絡船のりばへとひた走る事である。 ジャクリ組時代が嘘のように、自分は勿論周りも十分に気遣いながら。 「はい、これ。 ママがしっかり手をつないでいてあげなきゃダメよ?」
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