復讐と、彼女の祈り

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 耳慣れない詠唱が始まる。騎士らはアンデットと応戦しているので、防御魔法を構成出来ない。 「王女殿下!」  レヴィン伯爵が流石に厳しいと声をあげた。  そんなのはお構いなしに、彼女は魔法を編み続ける。 「地獄の業火よ、世の在る在らざるを隔てなく黒い炎で全てを焼き尽くせ! ニージェル・イグニッション!」 「スクァーズ・オヴ・リンク・ブラックランサーズコープス」  シャルロットの強化魔法の発動に合わせて、フラが一律限定範囲の魔法を放つ。  タイミングを合わせるなど考えられない話ではあるが、ローズランドの精霊王トールヴァルドを介して二人は繋がっている。  魂の存在レベルで同調を行える状態になっている。王女の感覚を引き上げたのはその為だった。  漆黒の炎が肉体だけでなく、精神まで直接焼き尽くす。  再生を繰り返すアンデットだが、それすら追い付かず、痛みを感じないはずが呻き声を漏らす。 「これは……神聖魔法? いや違う……」  ガルド子爵が自身の周りに漂う、光輝く白い膜を見て呟く。  だがそれはサルディニアの一族、ガルド子爵ら銀猫柳騎士、そしてレヴィン伯爵のみしか護ってはくれなかった。
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