平和でなくなってきたぞ……

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  「ただいま」  家に帰った向井は、そこが真っ暗なのに気づく。  人の気配がしない。 「律……?」 と呼びかけたあとで思い出す。  そういや、友だちの家にみんなで泊まるとか言ってたな、と思い出しながら、ソファの背に腰かけた。  テスト勉強するという話だったが、集まって勉強なんてできるわけがない。  自分にも覚えがあるからわかる。  自分の友人たちは比較的真面目だったが、それでも、誰かが一度脱線したら、もう最後、鉛筆を持つ手は止まり、一晩中、ただ、しゃべっていた。  だが、いい思い出だ。  なんとなく当時を思い出す。  まだ自分の未来を漠然と思い描いていただけの頃。  ……まさか、こんな未来が待ってたとはな。  想定外だ、と灯りのないキッチンを見る。
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