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やがて一時間程度のLHRが終わると、今日は解散となった。
「じゃあ有希、バイバイッ」
テニス部に所属する翼は、ブンブン手を振りながら颯爽と教室を後にする。
日に焼けた健康的な小麦色の肌、私と比べると胸も大きくてセクシーなんだよなぁ。
中肉中背で何の特徴もない自分からすると、羨ましい。
明日からはフル授業、早めに帰ってグータラしようっと。
新しくなった教科書は全部置き勉して、軽くなったスクバを持って自分も教室を出る。
窓からグラウンドを見下ろすと、野球部やサッカー部が早ウォーミングアップを始めている。
元気だなぁ……。
「ねぇ、ちょっと」
私も中学の頃はバレーやってたけど、練習きつくて高校では続けなかったんだ。
「ねぇって」
何か声が聞こえるとは思っていたが、まさか自分を呼ぶ声だとは思わず歩いていると、肩に手を当てられた。
「へっ……?」
振り返った先に立っていたのは、やたらと背の高い男子生徒。
見上げると端正な顔立ち、一瞬見とれてしまったが、知り合いではない。
「え、何?」
首を傾げると、白いネコのマスコットが握られている。
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