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「それ私の……」
「うん、落ちてた」
男子生徒はニッと笑うと、私の掌にマスコットを乗せる。
「どこに?」
「教室。出る時落としてったから」
教室……というと、この人は新しいクラスメイトなのだろうか?
「あぁ、ありがとう。大事にしてたものだから良かった」
「どういたしまして。明日から宜しく」
と言うからには、やっぱり同じクラスの人なんだ。
学校の人気者は雅人だけど、この人も同じくらいカッコ良いんだけど。
私が知らないだけで、実は有名だったりして?
じっと見据えるからだろう、不思議そうに首を傾げられた。
「どうかした?」
「あ、いや、何でも。名前、何ていうの?」
「伊織、仁木伊織。女みたいな名前だから覚えやすいでしょ」
仁木伊織はクスクス笑いながら、私と目を合わせる。
「そっちは名前、なんての?」
「佐久間有希」
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