first moon.

1. 風の扉で

夜の探検はどこに行くんだろう、と思ったところで気が付いた。

今夜はGMのご家族が宿泊するとかでフロントスタッフがバタバタしていた。

という事はお嬢さんも来られるはずだし、そうなると近藤さんはお招きされてるんではないだろうか。

月子は勝手な先読みをしてしまい、支度をしていた手を止めた。

今まで一度も袖を通していなかった白いシフォンのブラウスと、お揃いで買った優しいベージュのスカートをクローゼットに戻しため息をついた。

『からかわれてる可能性もある。』

36歳にもなってみじめな想いをするのもイヤだな、そんな風に思い支度をやめた。