1. 風の扉で

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駐車場に着くと近藤さんは唐突に髪をグシャグシャにし始めた。 月子があっけにとられている間にいつもの近藤さんがみるみる別人になっていく。 『こうするとちょっと、誰だか分からないという特技なんですよ。』 近藤さんはまたふんわりと笑う。 これは本当に分からないと思った。 いつもはホテルマンらしく髪をまとめているけれど、ほどくとその表情はまったくの別人のようで。 月子はさらにドキドキしてしまった。 これは近藤さんの作戦だろうか。 まだ少し疑いの気持ちが見え隠れしていた。
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