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『これは、できれば内緒にしていただけますか、近藤さん私は、』
月子の言葉の途中で近藤さんは微笑んだ。
そして月子に向かって細く白い腕を伸ばし小指を差し向ける。
『ゆびきりを。』
ゆびきりを??
あまりにも自然すぎる光景に月子は眩暈がした。
そして6月だというのにすでに日焼けをし小麦色になってしまった自分の腕を丁寧に上げて、小指を差し向ける。
『朔です。さくと書いてはじめ。』
はじめ、さん。
月子の頭は朔の一文字で溢れかえっていた。
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