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少女は彼女を愛している。
「聞いて、なっちゃん。私今日、ついにあの人と喋れたわ」
「……マジっ? やったなユキ子、よくやった! ヤッホー!」
「……ふふ、なっちゃん喜びすぎ」
「だって嬉しんだもん。ずっと相談乗ってたアタシの苦労も実ったわけさ」
「〝実った〟って……まだ、ちょっと喋っただけだよ」
「それでも、放課後に体育館の裏に座って声だけ聴いてたころより数段の進歩だ」
「……うん。なっちゃん、いつも一緒に座っててくれたよね」
「だって、あんなところにユキ子だけって心配じゃん。陰になってて暗いし、あんまり人来ないし」
「二人で体育座りして、ずっと隣で手、繋いでてくれた」
「うん……まぁね。そうした方がいいって思ったからさぁ」
「ありがと、なっちゃん」
「……ばぁか。早いよ。まだ『ちょっと喋っただけ』なんでしょ」
彼女も
少女を
愛していた。
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