第1章 丘の木小屋

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第1章 丘の木小屋

トントン…… トントントン……………… リズミカルに響く木を叩く音。 それによって穏やかに目醒めた少女は ブラウンのまつげを瞬かせ、 身を起こした。 ふかふかのベットから気だるげに降り、 近くのチェストへ向かう。 目の前で立ち止まり、夜間着を裾から 豪快にまくりあげた。 手際良く畳んでチェストへしまい、 その1段上の引出しから服を取り出す。 上半身と下半身で色が切り替えられた 五分丈袖のワンピースだ。 少女の体をすぽりと覆い隠すそれは 風をよく通し気温に順応する、 この地方特有の服。 少女は腰まである茶髪をささっと 三つ編みにして、 その部屋を出た。 「お母さん!」 少女は台所で料理をする母へ駆け寄る。 「あら、目が覚めたの、リル。 そこの桶のカブ、 取ってちょうだい」 少女、リルは台所脇の桶を見やる。 自分の拳よりも大きなカブが、 桶の中で水にたゆたっていた。 それを水から上げ、 軽めに水を切って 母のまな板の端へ置いた。 「ありがと、リル。」 「ううん、それより朝ごはん何?」 まだ眠そうに、しかしワクワクしながら リルは母を後ろから抱きしめる。 「リルの好きなカブのシチューよ ミルク取ってきてくれる?」
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