1.アウロラ~光の存在~

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「むーちゃんさあ。宗教にやたら縁があるよね」 仏頂面したせっちゃんが迎えに来てくれて、 『宗教勧誘や物品の売買は、社内規則で禁止のはずですよね』 上司を一喝して助け出してくれた。 せっちゃんも上京して、別の会社で働いている。 「いつもありがとね、せっちゃん」 頭をかいて、お礼を言った。 蛙の砲丸投げや、蛇の首根っこを掴んで振り回していたお転婆娘が、普通のOLをやっているのが不思議だ。 「せっちゃん、会社で上手くいってるの?」 せっちゃんは、地元でもちょっと愉快な女の子だった。 東京の人の目には、さらに愉快に見えるらしい。 「それがさあ、どうも同期の女子では浮いてるみたいなんだよねえ」 そうだろうな。 このビルだらけの街では、せっちゃんは収まりきらないだろう。 「・・・」 2人ともつい無言になって、街を歩いていたら。 「あれ。ココ何処だろう」 どこかの路地裏に入り込んでしまった。 「むーちゃん、店がある」 「・・・」 『色判断。スピリチュアルカウンセリング承ります』 看板に書かれた文字が、目に入った。
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