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「やっぱり……ごめんなさい」
「え、ちょっと……!」
ホテルの前にいたタクシーに乗り込み、その場から逃げた。
いつの間に、こんな腑抜けになっていたんだろう。
見ず知らずの男に触れられるのが怖かった。
ううん。アタシを愛してもくれない男に触れさせるのが怖かった。
自分で自分を抱き、暫く震えていた。
エラソーなことを言うだけで抱いてもくれない男は、いつしかアタシを鎖で繋いでいた。
どうしてさっきの男じゃダメなの?
どうして世界に1人しかいないの?
心が病むほどアタシを虜にする男は。
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