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『貴女はいつも兄様の事を見ていますね?』
同じクラスの中心的な男の子の事を見ていたら、その男の子の双子の妹が話しかけて来たから。
『あっ、はい、ええと…』
『白蛇紅葉です。そう言えば話すのは初めてでしたね、竜舞綾さん』
最近では珍しい、黒髪の長髪の白蛇紅葉さんが。私の事を、何を考えているのか分からない表情で見ていたから。
『え、ええと。私は隣街から、電車で通学しているんだけれど。この高校に入学するまでは、この白蛇市…白蛇?』
紅葉さんは、綺麗な黒髪を揺らしながら頷いて。
『はい、この白蛇市は。私達の家門の市です。正確には、江戸時代までは。白蛇家の領地だったのですけれど』
大名家の人達だったのかな?。
『あっ、でも、それで判りました。紅葉さん…』
私が紅葉さんの事を名前で呼ぶと、紅葉さんは一瞬だけ不愉快そうな表情を浮かべてから。
『何が判ったのですか?。竜舞綾さん』
…私は、白蛇紅葉さんが発する、奇妙な圧迫感を感じながら。
『はい、紅葉さん。紅葉さんのお兄さんの周りに、いつも人が集まっているのは何故なのかと思っていました』
『…………』
紅葉さんは、奇妙な目付きで私の事を見つめています?。
『竜舞綾さん。私は誰ですか?』
何を言っているのだろう?。
『白蛇紅葉さんですよね?』
『………兄様。今日、私のお友達の竜舞綾さんを。白蛇邸にご招待したいのですけれど。御許し頂けますか?』
紅葉さんのお兄さんの白蛇さんが、紅葉さんと私の方を見て。
『勿論構いませんよ紅葉。紅葉のお友達は、僕のお友達でもありますからね』
白蛇さんが、私の目を真っ直ぐに見ながら微笑みかけて来たけれど…。
『えっ、えっと。お誘いは嬉しいのですけれど。今日は隣のクラスの同じ街から通って来ている友達と、一緒に帰る約束をしているので…』
私の答えに、白蛇さんと紅葉さんの兄妹は驚いているみたいだけれど?。
『兄様。これはどうなっているのでしょうか?』
妹の紅葉さんの問いに、白蛇さんも不思議そうな表情を浮かべて。
『極めて珍しい事例ですね、紅葉』
白蛇家の兄妹は、不思議な存在を見るような目付きで、私の事を見ていました。
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