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***** 「いいって!」 「……」 「ねぇ! 遥斗ってば!」 あたしの高校の最寄駅に着くと、遥斗はさっさと電車を降り、ホームを出て行く。 あたしは唖然としてしまった。 一緒に行くって言ってたけど。ただ同じ電車に乗るだけだと思っていたのに。 もしかしてこのまま 高校まで送るつもりなの? 「遥斗! ほんとに遅れちゃうよ?」 あたしは目の前にあったスポーツバックの紐を掴んで言った。 やっと遥斗が立ち止まって、振り返って 「遅れてもいい。学校まで送る」 「ちょっ」 そして、そのまま行こうとする。 「いいって!」 あたしは持っていた紐を後ろからひっぱった。 「おい、美羽」 「ほんとにやめてよ」 「……」 「遥斗!」 人々が忙しげに行き交う駅前の広場で、言い合いをするあたしたちに向けて 「……名瀬?」 誰かの声がかかった。
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