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「ルル!?」
慌てる獅子様。
私は涙を流しながらお弁当を食べた。
「獅子様は凄いです……っ」
「なんだ、いきなり……」
「好きな人を応援出来る優しい人です。でも私は応援出来ません」
「何……」
「2人とも大好きなのに……っ!それなのに、応援出来ない私は最低な人ですか……っ!?」
獅子様にそう聞くと獅子様は首を横に振った。
「そんなわけないだろ」
「だけど……っ」
「人はそれぞれ。俺はそう思えたけど、ルルは違うって事だ。俺みたいにならなくてもいい。ルルが嫌なら嫌でいいんだ。それが間違ってるなんて事はない。絶対に」
「獅子様……っ」
「そんなしおらしいルルはルルじゃないぞ!俺のオススメのデザートを用意してやる!」
獅子様はニコッと笑うと携帯で何処かに電話をかけた。
それからしばらくして真っ黒なスーツの男の人達が可愛らしいケーキの箱を持ってきた。
中には色とりどりのケーキたち。
「どれでも好きなだけ食べろ!これは全部ルルのものだ!」
私は獅子様に笑顔を向けて頭を下げた。
この会社に来て良かった。
獅子様がこの会社の御曹司で本当に良かった。
友達になれて良かった。
そう思いながら私は美味しいケーキを堪能した。
獅子様と別れて仕事場に戻る。
まだ昼休憩の真っ最中なのでほとんど人がいない。
蛍先輩もいない、か。
自分のデスクに座ってため息をつく。
ふと携帯を見ればランプが点滅していた。
何?
開いてみると小鳥ちゃんからメッセージ。
『南雲先輩とお昼を食べています。良ければ植谷さんもご一緒しませんか?』
そのメッセージは30分も前のもの。
蛍先輩、小鳥ちゃんと食べてるんだ。
施設で育ったという2人の共通点。
それから何だか2人の距離は近くなった気がする。
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