第13章 熱風

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あちぃ・・・ 蒸すような暑さで目が覚めた。 腕を伸ばして、エアコンのリモコンを探る。 ピッ。 しばらくして、吹き出した冷風が、 汗ばんだ身体に心地よかった。 カーテンを閉めた窓から差し込んでくる陽射しは もうとっくに高くなっていた。 反対側には、葉月がオレの腕を枕に 寝息をたてている。 汗ばんで、頬に張り付いた髪を そっと撫でる。 あどけない顔で眠る葉月を見つめながら 乱れる姿を思い出して、ゾクッとする。 知ってしまった、もう一つの葉月の顔に 一人、幸せを覚える。 笑い出しそうになって、腕の中の葉月を、思わず抱きしめた。 「・・・ん・・・」 葉月が、まぶしそうに目を開けた。 「高村くん・・・」 すっと身体をすり寄せてくる仕草が愛おしい。 「目、覚めたか?」 「うん。」 どうみても、まだ眠そうだが。 タオルケットを引き寄せながら、葉月はゆっくりと身体を起こす。 チラっと枕元の時計に目をやって驚く。 「!!!三時!? え?午後の三時ってこと?」 「あぁ、そうらしいな。」 颯も、身体を起こし、葉月の唇に軽くキスをする。 「腹、減らないか?どっか食べ行こうぜ。」 「・・・うん。」 「シャワー、浴びるか?」 「あ・・・うん。」 まだ、半分寝ぼけていそうな雰囲気で、 立ち上がろうとした葉月が ぺタリと座り込む。 「どうした?」 「・・・えへへ・・・腰に・・力、はいんない。」 恥ずかしそうに、顔を赤らめる。 「んじゃ、オレが連れてってやる。」 「きゃっ!」 タオルケットにくるまったままの葉月を抱き上げると 浴室まで運ぶ。 「なんなら、手伝おうか?」ニヤリと笑いながら言うと 「だっ、大丈夫!」 と浴室から追い出された。 *****
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