7月29日、隅田公園にて。

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「なんだ、今年も1人なのかよ、鈴」 夜空いっぱいの光の華々と破裂音。 それに混じって聞こえてきた声に振り向くと、いつの間にかすぐ横に、幼馴染の爽太が座っていた。 隅田公園のジャングルジムのてっぺん。 幼い頃からの私達の特等席だ。 今年も帰って来たんだーーーー 「おかえり…」 言葉に力が入らない。 今年こそ花火大会までには彼氏を作るぞ、と自分でも意気込んでいたのに。 結構いい感じなとこまでは行ってた気がしたが、また直前でダメになった。 ダメにした、と言うべきか。 それもこれもこいつの所為だ。 幼い頃から当たり前の様に一緒だった私達は、3年前の高2の夏、付き合い始めた。 ちょうどこの花火大会の日からだ。 けれど結局恋人同士として2人で花火を見たのはそれが最後で。 もう離れて3度目の夏、私は彼以上に好きな人を見つけられていない。 けれどそれを口にすれば、彼を縛ることになる。 「おじさん、おばさんのとこには行ったの?」 気持ちに蓋をするように、違う話題を振った。 「んー…いや、花火見たらすぐ戻るし」 いつもこんな感じだ。地元に帰って来たら、普通は真っ先に実家に行かないだろうか。 「お盆休みは?」 「んー、わかんね」 次々打ち上がる花火を見上げながら、面倒くさそうに答える。 「俺はただ、『次の彼氏が見つかるまで一緒に花火見てやる』って約束果たしに来ただけだし」
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