第4章

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 しかしそれにしても。  こんなやたらと持って回った、それこそ「なんだよこれは、ヤクザ物のヴィデオゲームか?」って言うようなやり取りを、(ハタ)で見せられていると、なんだか段々にバカバカしくも、ウザったいような気分になってくる。  だからついに、 「でさ、秦さん。電話だけど、結局、『秦さんじゃない』んだ?」って、とうとう僕は、ふたりの間に横から口を挟んだ。 「それは、わたしじゃありません、(ボン)」  そう応じて、そこで初めて、秦さんが僕へと視線を向ける。  そして、「でも、聴きましたよ。その通話は」と、サラリと続けた。
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