前章

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蒼ノ宮北高校。地域一帯では「蒼北」の略称で親しまれるこの学校は、難関校として有名だ。隣町にある名門私立藺蘭高校には敵わないまでも、人気の高い学校である。そんな蒼北には今…一際目立つ五人組がいた。 「よお、儷史。安定の学年トップだな」 明るい金髪に着崩された制服、気怠そうな風貌は…矢崎愛。 「…お前もな。つか陽恐ぇんだけど」 そう言って苦笑したのは、本城儷史。漆黒の髪と整った顔が、貴公子を思わせる。 「おかしいでしょアンタたち…何なのよ、8教科で800点って…」 腰まで届きそうな、艶やかでまっすぐにのびた黒髪…三村陽が悔しそうに言う。 「いやいや、陽ちゃんも十分スゴいよ?…ていうか、1点しか変わんないし」 柔らかな淡い茶髪に、くるりと大きな瞳。水嶋光が、首をこてん、と傾げて言った。 「そーだよー!私なんて今回はじめて数学で30点以上とれたんだからー」あっけらかんと笑うのは、神宮歩。金混じりの茶髪が、左右で一部三編みにまとめられ顔の横で揺れている。 この5人の共通点…それは見る人の目を一瞬で奪う、その容姿。これでもかと整った顔に、それぞれの強い光を持った瞳。 正義感の強い茶色の瞳は、愛。冷たく引き付けられる黒い瞳は、儷史。感情を見せない、それでいて生気の溢れる黒い瞳は、陽。淡いグレーの優しい大きな瞳は、光。そして、明るい茶色の澄みきった瞳は、歩。 5人の存在は、いつでも周囲を魅了し、惹き付ける。 ―そしてその頃。 「よっしゃあ、予習終わりっと」 名門私立藺蘭高校、その図書室で、伸びをする男子生徒。色白の肌、濃い茶色の髪は少しくせ毛で、はねている。そして、色素の薄い茶色の瞳には、どこか陰がある。彼もまた、蒼北の5人に同じく強い存在感を醸し出している。 この男子生徒は、安藤和羽。蒼北の5人と強い絆で結ばれる男だ。 この物語は、愛、儷史、光、陽、歩、和羽の6人の、青春の思い出。
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