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「…先輩、大丈夫っスか?」
習い事でお世話になっていた川畑先生が急に亡くなり出席した葬儀…気分が悪くなり中座した私に、様子を見に来た後輩が声をかける。
「あ、うん…だいぶマシになったかな」
葬儀場の外に並べられたパイプ椅子のひとつに座っていた私は顔を上げると、そう答えながら少し微笑んでみせた。
「先輩が体調崩して中座するなんて、らしくない気もしますけど…先生との付き合いが俺たちより長いっスもんね、その分ショックだったんじゃないっスか?急だったし」
後輩の言葉に私は胸の中でまだ渦巻いているものを感じながら、
「…そうだね…色々あったし…」
と答える。
…そう、色々あったのだ。
あの日、あの黒い表紙を開いてから…──
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