ポアチャとチュルブル

6/8
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
「お、良いにおいだなあ」  夫が台所に入って来て、私が持つポアチャを見て目を細めた。 「おいしそうじゃないか」 「焼きたてが一番おいしいらしいわ」 「んじゃ、すぐに手を洗ってくるわ」  夫はそう言うと、洗面所の方に急ぎ足で出て行く。  私は焼きたてのポアチャを大きめの皿に盛り付けると、二個のコーヒーカップにインスタントのコーヒーを入れて、お湯を注いだ。  それを夫の席の前に置いていると、夫がバタバタと急ぎ足で戻って来た。 「急がなくていいのに」  私がそれを見て笑うと、 「何言っている。お前は後十五分で出なきゃいけないだろ。どれどれ、初のトルコ料理、堪能させてもらいますかね」  夫は、パシン!と両手を合わせて、「いただきます」と言うと、まずはチュルブルを食べ始めた。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!