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ぶるるっと震えた僕に、佑美は不思議な顔をしながら。
「………何があった」
「…いや、佑美は知らない方がいいよ、夢って儚いんだよ……うん知らない方がいい事も世の中にはあるよ、うん」
怪訝な顔をして僕に詰め寄る佑美に賢那ちゃんが眉をひそめながら、佑美にいう。
「…ゆーちゃんりおにーちゃんは僕のおにーちゃんだよ」
「…これは失礼しました、賢那様莉那様」
恭しく頭を下げる、更に左手を胸に右腕を腰に当てて執事の真似事の様なポーズを取る佑美に賢那ちゃんは不機嫌になってしまう。
「むーぷーっりないこ」
「けんなちゃん……」
莉那ちゃんは直ぐに賢那ちゃんの不機嫌さを感じたらしく神妙に頷き部屋を出ていく。
後日、陛下に閲覧が出来ることは知っているが、興味があるのは老人のイメージがある。
僕は今心底戸惑っている、閲覧出来るとは知ってるが……高齢者の人ばかりが見に行くイメージがある。
あったんだけれど………何故に僕は此処に居るのだろうかぁ。
「………あのっ、まさか………この為にタキシードを作ったの」
「え、あ………旦那様は今後も必要不可欠な正装ですのでクリスマスで慣れていただくはずだったのですが………まさか、莉音様も招待状に入っているとは………まだ幼い柚那様は招待から外されていますが、今年から賢那様と莉那様も一緒に行くことに成りましたから………賢太様と雄太様もフォローされますから大丈夫ですよ、きっと」
木村さんのフォローは微妙だぁ。
「私達はここからは入れませんので頑張って下さいね」
隣の部屋で服を着替えていた莉那ちゃんと賢那ちゃんがパタパタと足元に抱き付いてくる。
「………だいじょうぶ」
「りおにー…おかおまっさお」「おー莉那ドレス姿可愛いなぁ、賢那は格好いいなぁ…莉音顔色最悪だな」
雄太さんが賢那ちゃんと莉那ちゃんの頭をそっと撫でる、綺麗にセットアップされた髪を崩さないようにそっとそっと撫でる、そして何故か僕の頭をポンポンとし二人の手を取る。
「迷子に成らないように手を繋ごうか…もし俺が挨拶回りに駆り出されたら、莉音が二人を見ていてくれ」
「はい」
にっこりと雄太さんが僕に笑いかける、僕は驚愕する。
あの雄太さんが笑いかけて来たなんて、前代未聞だよぉぉ。
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