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沈黙が重く、苦しい。苦しいのは僕だけじゃなく早坂も、圭もだ。
「僕と早坂は、親友。そうでしょ、早坂」
だから、僕が答えた。
早坂は認めたくないのかもしれない。親友じゃ足りないんだろう。僕が欲しくて足掻いてる。
それはただの、性欲?
早坂はただ僕を抱きたいだけ?
それとも恋人になりたいの?
早坂の望みはなんだろうと考えると、答えが出ない。
早坂は、僕と友人であろうとした。
でもその一方で求めたのは、友人を越えた関係。肌を重ねた事実をアルコールで消して、僕のなかには一番親しい友人の早坂しか、いないようにしていた。
「そうでしょ、早坂……」
消えた記憶にどんな早坂がいても、どんな僕がいても、なにをしていたとしても。けして許せる事じゃないけど、無かった事にはならないから。
早坂が、僕を好きだと想う気持ちに変わりはなくて。ただ手段を間違えてるだけで……。
板挟みになってる早坂を救えると思っていたのに。それは僕の勝手だったのかもしれない。だって僕はわがままだから。
圭の側にいながら早坂を手放したくない、なんて、早坂がツライのなんて決まってるのに。
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