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妖怪家事ババア
「どういう事なんですか!」
翌日僕は賢者の所にすっ飛んで行った。
「はあ、やはりこうなってしまったか。」
「なんなんですか?!あの生き物は!妖精ちゃんを返して下さい!」
「あれはな、オバチャンという妖怪じゃよ。妖怪と言っても大して害はないし、別名妖怪家事ババアといって、役には立つぞ。ちっと口うるさいしグチっぽいがな。」
「一体どうしてこんな事に・・・・」
僕は頭を抱えて言った。
「おまえさんが妖精に適切な食べ物を与えなかったからじゃよ。」
「だって餌は食べないって・・・・」
「妖精の食べ物は、ご主人の愛と感謝と関心じゃよ。いい夫でいれば大丈夫と言ったじゃろう。適切な食べ物が与えられなければ、それ無しでも生きていけるように変態するしかないんじゃ。そうして生まれ変わったのがあのオバチャンじゃよ。」
「つまり妖精ちゃんがああなってしまったのは・・・僕のせいって事ですか・・・・」
「まあそう気落ちせんでも、ある意味楽じゃぞ。抱きしめなくてもキスしなくても褒めなくても、勝手に韓流ドラマやジャニーズのDVDでも見てエネルギー源にする。生命力はゴキブリ並みじゃ。放っておいても家事はしてくれるしな。」
「そんなの嫌だあ!僕はもう一度妖精ちゃんに会いたいんだ!」
「一度オバチャンに変態してしまったものをもとに戻すのは難しいのう。妖精が心を閉ざすまでにかかった時間の3倍はかかるかのう。もう一度、おまえさんに恋をすれば妖精に戻るじゃろうが、その間毎日オバチャンを抱きしめて、キスして、褒めて、ぐちぐち言うのを心から聞いて、『わかるよ』『ごめんよ』と言い続ければ、あるいは・・・・あ、聞いてるフリとかはいかんぞ。ホレ、かわいそうな姫がカエルとか野獣に愛を注いで呪いを解いてハンサムな王子に変身させる物語があるじゃろ。アレの逆バージョンじゃな。」
「アレを、毎日抱きしめてキスして・・・・あのグチを聞き続けるんですか?」
僕はがっくりしてうなだれた。妖精ちゃんのさえずりのようなおしゃべりだってろくすっぱ聞いてなかったのに、あのババアのグチを心から聞き続けるなんて、絶対ムリ!
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