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じいちゃんちに泊まった僕は次の日も畑に行った。 その日もじいちゃんは同じ場所でタバコを吸っていた。 僕を見つけるとあの秘密の笑顔で笑った。 じいちゃんがタバコを吸って、そのそばで僕は座っていた。別に何の話もせずただ、一緒にいた。 「ヒロシよう。」 不意にじいちゃんが言う。 「ちょっと頼みがあるんだがな…」 じいちゃんはその三ヶ月後に亡くなった。 今、お坊さんのムニャムニャとした呪文がようやく終わってじいちゃんの入った箱が運び出される。 カートに花が置いてあってその花を、じいちゃんの顔の横とか上とかに敷き詰めていく。 「ほら、ヒロシ、あんたも。」 かあちゃんは目に少し涙が溜まっている。伯父さんは大泣きしている。ばあちゃんは泣いていない。 かあちゃんにうながされて僕も大きめの花をもつ。花を入れる時、学ランの袖に忍ばせてあったタバコを花の下にスッと隠す。 じいちゃんの頼みごと。 あの日じいちゃんは僕に頼みごとを言って最後に、やっぱりあの秘密の笑顔で、 「ばあちゃんには秘密だぜ」 って笑ってた。 じいちゃんと僕の墓場まで持っていく秘密。
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