真冬の蛍-後編-

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恭弥くんに声が届いてない、どうすれば…… 「恭弥、俺の声だけ聞け。大丈夫だ、もう大丈夫だから」 恭弥くんを自分にもたれさせて頬が触れそうなほど顔を近づける悠。 「お前は俺の声だけ聞いてればいいんだ、他には何も聞くな。ゆっくり息を吐け、そうだ」 恭弥くんの頭を抱え込むようにして髪を梳きながら聞いたこともないほどの優しい声でなだめる。 するとあんなに乱れていた呼吸が落ち着いてくる。 「イイコだ。そのままゆっくり息してろよ」 もう、大丈夫かな。 「翔、宿に戻って恭弥くんがすぐ休めるようにしてきて。亜狐、まろとみこに探してきて欲しいものがあるんだ」 「分かりました」 「いいよ~」 翔と亜狐もほっとしたような顔をしてすぐに行動を始める。 くたりともたれて浅い呼吸を繰り返す恭弥くんを見つめ眉を寄せる悠。 またそうやって1人で責任感じてる。 「大丈夫、僕が必ず除霊するよ。任せて」 悠だけのせいじゃないんだから、僕にも背負わせてよ。
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