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声を発しようとしてもうまく出てこない。
こんなのまるで、水の中にいるみたいだ。
『イヤ、モット……モットイキタイ』
『シニタクナイヨ……タスケテ』
『コワイ、クルシイ……』
『サムイ、サムイヨ』
ずるずると引きずり込まれていく意識。
視界が混ざりあって自分が立っているのか座っているのか、動いているのか止まっているのかさえ分からない。
息が苦しい、誰か、助けて……
助けて、南雲さん……
「走れ!!!」
沈みかけた意識に割り込んできた声。
血の気が引いた体が右手首だけ暖かくなる。
それでも相変わらず視界は不鮮明で平衡感覚もぐちゃぐちゃ。
ただ、ひたすら自分の手を引いてくれている相手を信じるしかなかった。
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