残念な兄

1/2
23人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ

残念な兄

 今日は私にとって大事な日。  3年付き合った彼女に結婚して下さいと、一世一代の告白をする日だ。  私は今年で24歳だが、彼女は29歳。30代手前の彼女が結婚をほのめかす話を切り出す等、成功率は高いと思うが確信は持てない。  だからこそ少しでも確率を上げる為、僕が考えられる最高のデートプランを1ヵ月掛けて用意した。  そして今日は朝の5時に起床して髪形をセットし、思いつく限りのオシャレな服装に身を包み、待ち合わせ場所で2時間前から待つ。  そわそわしていると、待ち合わせの5分前に彼女が小走りで駆けて来た。 「洋一さん、ごめん。待った?」 「いや、さっき来たところさ。じゃあ行こうか、明美ちゃん!」  僕が告白するなんて知らないから当たり前だが、彼女の服装は普段のデートとあまり変わらない。髪形もいつもと同じだ。  先ずは計画通り。そして最後はサプライズで指輪を渡して告白する……  それを悟られない様に胸の鼓動を抑え、デートが始まった。  そんな洋一と明美を見つめる影が2つ……
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!