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無表情と言われる僕が泣き出したのだから、クラスメイトは相当驚いたようで、こちらを凝視してくる。
それに気付いて、不思議なくらい冷静な頭で教室から出た方が良さそうだなと考えた。
涙で狭くなった視界のせいで、立ちあがり歩き出した僕はつまずく。
痛みを覚悟して目を閉じたけど、一向に痛みは来なかった。
来たのはぬくもり、そして君の匂い。
何が起こったのか分からなかったので、頭が真っ白になって、硬直する。
とりあえず離れようと思い三好くんの胸元を押した。しかし、まるで離さないというかのように、強く強く抱き締められる。
訳がわからなくなった僕に降ってきたのは、いつも通り優しいけど、どこか焦ったような三好くんの声。
「どうした?何か有ったのか?」
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