勇者召喚!!

3/5
151人が本棚に入れています
本棚に追加
/254ページ
 隣に居た黒猫のスピカさんが居ない事に気づき、何故か再び無性に悲しくなった。片付けてくれたとはいえ、ゴミ袋とファッション雑誌で床が抜けそうな昭和テイストの畳四畳レトロは何処か物憂げであった 「、、、、、、、、、、ビールぬるい。口、クサッ、、、、、、、、」  起き上がった瞬間、ふらつきながら水道蛇口まで辿り着き、水を汲み一気に飲み干すと、新しく水を汲みガラスのコップから溢れる水を気にもせずにテーブルの真ん中に置いた。 「まだ頭、、、、、、、、イッツゥ!スピたーん!何処行ったのよぉ!ママ悲しいよぉ」  一つしかない窓にそう言う。壁の薄い文化住宅の様な賃貸である。気にした所でどうせ聞こえるものは聞こえるのだ。ご近所のクレームも何時しか無くなりむしろ関わると怖いのか、最近は遠回しにすら何も言ってこない。 ーーーーーーーー夜月が綺麗だった。  空に目を向けていると何故か背中から聞き覚えのある鳴き声が聞こえて来た。部屋を見回すと今まで居なかったはずの、真っ黒なシルエットが家の玄関で爪を研いでいた。 「あ、スピたん!そんな所に居たの?」
/254ページ

最初のコメントを投稿しよう!