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きっと、ふたりは
思いっ切り野球しているのかな?
河野君……
彼を待っていたのかな?
瞼を閉じ、2人のキャッチボール姿を想像すれば
中学の皆で過ごした時期が脳内に浮かんだ。
楽しそうな2人の様子にフッと頬を緩め
瞼を開ける。
空を見上げ、煙突から上がる灰色の雲をぼんやり眺め、彼の部屋から持ってきた野球ボールをその煙に向かって力いっぱい投げた。
消えていくボールを見ながら、ポツリと呟いた。
今までありがとう。
あの事故から笑顔の消えたアナタの亡骸の微笑みが
最後の救いであり、アナタが望んだ事なのかもしれないね……
河野君。
彼を宜しくね。
アナタが彼に友情でない好意を持っていた事
私は気付いていたわ―――
終
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