乾日向の憂鬱な一日のはじまり

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人類はみな、平等じゃないと思う。 平等ならどうして俺は普通じゃない人間として生まれてきてしまったのだろうか。 いつも自分が生まれ持った不思議な力を恨めしく思うばかりだった。 ピピピッ……と規則正しいアラーム音を鳴らすスマホを布団の中から手を出して探り当て、必死に止める。 本音を言えばもう少し寝ていたいところだけど、今起きないと確実に間に合わない。 大きく屈伸しベッドから出てカーテンを開けると、眩しい朝日に堪らず目を瞑ってしまった。 「今日もいい天気だな」 目を細め晴れ渡る青空を見た後、準備に取り掛かった。 俺、乾 日向(いぬい ひなた)の朝は早い。 高校進学を機にひとり暮らしを始めて半年が経つが、それなりにひとり暮らしを満喫できていると思う。 自炊も家事も誰にも頼らずやっている。
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