アイスに釣られて

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「食えよ」 そう言って差し出されたアイスに、私は驚いた。 だって、私が見える人なんて今まで誰もいなかったのだから。 「わ、私が見えるの?」 「見えるに決まってんだろ。お前、ここの神様だろ。ーーいいから、とにかくアイス食え!溶けちまうだろ!」 「あっ、はい!」 青年が声を荒げたことに驚いて、私は急いでアイスを受け取って口に入れた。 ひんやりとした冷たさと、甘い味が口いっぱいに広がる。 美味しい……! パクパクと口に運んでいくと、あっという間に無くなってしまった。 「美味かったか?」 「うん!とっても!」 見ず知らずの青年に、私はありがとうっとお礼を言った。 途端、彼はニヤリと笑った。 そして。 「お布施のアイス食ったんだから、俺の願い事聞いてくれるよなぁ、神様?」 「え?」 彼の言葉に、私はその時になって嵌められたことを知った。 そしてこれが。 これから先、長く続く私たちの出会いの始まりだった。
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