第4章 港町がくれたもの

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「私、彼女にはなれないのかな?」  祐哉の隣で電話を掛けた私。  和哉と祐樹、二人の答えは見事にシンクロしていた。 「このままじゃダメなの?」  「ダメだよ」と言った私は電話を切った。  祐哉が居なければ、出来なかった行動だ。  実際「そんな事言うなんて茉莉奈らしくない」と、訳の分からない事を言われた。 「・・・・・・なんかムカつく」  私はそう言った後、祐哉の隣で泣いた。 「よく言うよ、二股かけてたくせに」  祐哉は笑って、「本当に女は勝手な生き物だ」と言って、私の頭を撫でた。 「だって・・・・・・」 「でも、結果オーライじゃないの?」  そうだ、私はそんな半端なまま、二人と続ける気なんて無かったのだから。 「笑わないんだね、私が二人に遊ばれてたこと」 「笑わないよ、可哀想」 「二股かけてたのに?」 「それでも茉莉奈、泣いてるよ」 「でも祐哉が隣にいるよ」  少しだけ強引に終わらせてしまった私の二つの恋。  だけど、モヤモヤとしたものは消えた。 「一人で寝れる?」  祐哉が茶化すように笑った。 「寝れるよ、バカ」 「よく頑張りました」  ふいに抱きしめられて、私はついさっき振られたばかりなのにドキドキした。 「今度は俺が会いに行くよ」 「うん、来て」  潮風が気持ちいい。  私、ここに来て良かった。  いつか終わりにしなきゃと思っていた恋に、終止符を打てたのだから。  それだけじゃなくて、祐哉という人間にも出会えたのだから。  港町は私からモヤモヤを連れ去って、キラキラをくれたんだ。 ーーENDーー
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