淡い海

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僕は幼い頃夏が嫌いだった。 民宿を経営していた実家は、夏休みを迎えると急に忙しくなる。 父は居らず母一人で切り盛りしていた為、夏休みの間はバイトを雇い、朝から晩まで休日もなく働き通しだった。 「僕も夏休みなのに……」 他人の休みを笑顔でもてなすのに、息子の僕は何処にも連れて行ってもらえない。 「夏なんてなくなればいいのに」 目の前にある海に一人で行ってはボヤいていた。
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