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声に反応し敵が踵を返し立ち止まると、こちらも距離を保ち睨み合いが始まった。
「追いつくとは……人間だとは思えんな、残念だがお前らの敵はこっちじゃなくて向こうだぞ?」
「この後に及んで嘘つくんか!お前は鎌が血まみれだし殺気だらけじゃん!」
妹がくってかかると、忍者姿の男性が反論してくる。
「優しく言えばつけ上がりおって、我らはお前らに加勢してやったんだぞ?もう仕事が終わったから帰ろうとしてたら、勝手に来たんだろうが!」
「ワオンに攻撃したやろが!嘘つき忍者が!」
瑠里と忍者の言い合いを見ていたが、どうもこの人は違う気がする。
「瑠里、この人違うみたい……普通ならもう攻撃してるって」
向こうも血まみれだが、恐らく自分のではなく戦って返り血を浴びたみたいだ。
「あの……すみません、もうウチの仲間は全滅させたんでしょうか?」
もしかしたら皆を助けてくれたかもしれない忍者に、ちょっと優しいトーンでしたてに声をかけた。
「あと一体残っておる、ウチの孫の腕を切り落とした極悪人が」
何処に居るんですかと聞くと同時に、私と瑠里の間に違和感を感じて身を交わす。
「あっぶな――っ!すぐ後ろだったわ!」
「ほぅ?よけるとはな」
背後に居たのは同じく忍者の格好はしているものの、大きな鎌を二本持ち血まみれで、顔だけがイタチの人型の姿だった。
「人間の分際で仲間を全滅させるとは……楽しかったが、お前らはついでに殺ってからズラかろう」
殺気を感じて振り返ると、先程の忍者が思い切りそいつを睨みつけている。
「お前だけは絶対に許さんぞ、仲間を虫けらみたいに殺しやがって」
「うるさい老いぼれが!お前もすぐに仲間に会わせてやる」
真っ暗でも凱の力のおかげか昼間のようによく見える。
瑠里も同じなのか既に敵との間合いを詰め、手には鎌を二本持って準備万端だ。
「忍者には悪いけど、ここは私達に任せてもらうよ?それが仕事だからね」
「お前らみたいなひ弱な者で敵う相手ではない!」
瑠里達が言い合いをしている中、私だけは相手を見据えてジッとしていた。
「フン!どっちでもいい、皆殺しにして終わりだ」
まずこちら目がけて鋭い鎌を振り下ろしてくると、目に力を込めて『切る』をイメージした。
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