僕の名前は遠藤です。

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男は誰しも、理想の女性像を持っている。 ぼんやりとこんな子がいいなと思う奴もいれば、条件項目を並べる理想主義者だっている。 俺は前者だった。 顔が可愛いのは大前提で、話しやすい子。 あとは出ているところが出ていてほしい、といった具合に。 しかしそれがとんだ間違いであることに気付いたのは、高校入学式の日。 発表されたクラスへ入り、これから一年間、共に新しい学校生活を送る同級生の面々に緊張よりも心躍る気持ちの方が勝っていた。 ホームルームにて親睦を深めやすいようにと、一人一分程度の短い自己紹介をするように言い渡された。 人見知りしない俺は、中学の部活から好きな食べ物まで言えるだけの事を全部話した。 笑いをとるのが狙いだった。 案の定、張り詰めていたように感じる教室の雰囲気は一気に和み、その流れで江畑という奴の自己紹介も終えた。 ガタ… 椅子の引きずる鈍い音と共に先ほどまで流れていた空気感がガラリと変わった。 ほぼクラスの男子全員が硬直したまま視線を向けている先は、自分の二つ後ろに座っていた女の子。 『…緒沢 雫です。 ………よ、よろしくお願いします。』 俺は人生で初めて、人の造形美に息を呑んだ。
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