0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
「夏なんてなくなればいいのに……」
隣でぐったりとしながつぶやく仲間の言葉に、俺も頷く。
ぐるりと見渡せば、他の仲間も同じように夏バテで。
照りつける太陽からなんとか逃れようと、木陰はごった返していた。
まだまだ夏は始まったばかりだ。
「暑くて死にそうだ……」
俺が言うと、他の仲間がそうだそうだと頷いた。
「私、ちょっと泳いでくるわ」
そういうと隣にいた仲間は、ピョコピョコ歩いていき、下が大きな水槽になっているプールにバシャンと飛び込んでいった。
『ーー本日は当水族館にご来場いただきまして、誠にありがとうございます』
しばらくして、日課のアナウンスが始まった。
これから俺たちは、この暑さと戦いながら、観客を喜ばせなくてはならない。
『いたいた!ママー、ペンギンがたくさんいる!!』
早速俺たちを見ようと、人間の子供が走ってきた。
これからわらわらと人間が集まってくる。
暑いからと怠けてはいられない。
俺は仲間達と共に暑いのを我慢しながら、定位置に向かったのだった。
最初のコメントを投稿しよう!