第0話 ラプラシア王女の婚約

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 端整な顔立ちに、濃い色の髪と碧眼が映える、なかなかの男前だ。 「驚かせてすまなかった。王城へ向かうつもりだったのだが、飛竜のことをすっかり忘れていてね。都合良く王城の使用人を見つけたと思い、声を掛けさせてもらった次第だ」  そう言うと、男はマナの衣服を指で差した。  なるほど、確かにこの服は侍女のエステルの仕事着であり、王城の使用人のもので間違いなかった。マナが納得して顔を上げると、男は期待を寄せるような眼でマナを見ていた。  要するに、この男は宴のあいだ飛竜を置いておける場所を知りたいのだろう 。  騎士団の厩舎の場所なら知ってはいた。けれど、飛竜ともなると話は別だ。 「王城に行って直接聞いたほうが良いと思います」  マナが言うと、男はにやりと口の端を上げて。 「では、案内してもらおう」 「へ……?」  間髪入れず続けられた男の言葉に、マナは思わず間抜けな声を出してしまった。  唖然とするマナを他所に再び兜を被ると、男は軽々とマナを抱き上げて、そのまま飛竜に跨った。  ぐんと手綱を引かれ、飛竜が大空に舞い上がる。
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