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れてしまったこの空気はどうにもならないようだ。
王の間にいる者は、俺を見下し、蔑み、嘲笑い、中傷する。
「何だよ、あいつ役立たずじゃねぇか」
「ダッサー」
「はぁー、どうしてあんな奴が俺たちと一緒に召喚されてんだよ」
「私たちの品位が疑われちゃーう」
「ギャハハハ!よえー!魔力は少ねぇし、弱そうなスキルだな」
「あいつ直ぐ死ぬんじゃね?」
「別に良いだろ、能無しの1人くらい」
うわー、予定通りだがこりゃ予想以上だな。
その時、魔導師たちが何やら騒いでいるようだ。
どうやら、魔力を測る水晶に罅が入り割れてしまったようだ。
「……」
「ふむ。これは一体どういう事だ?」
王が魔導師の爺さんに問う。
「おそらく、高魔力の勇者様方の測定を続けて行った為かと……」
‥‥当たらずといえども遠からず、だな。
爺さんの説明になるほど、と王が頷く。
「では、これにてこの場は解散とする。皆の者、本日はご苦労であった。勇者たちも部屋を用意したのでそちらで体を休めると良い」
そう言うなり王と護衛の騎士たちは部屋から出て行き、魔導師たちも割れた水晶を持って忙しそうに部屋から出て行った。
「では、使用人の所までお送り致します。どうぞこちらへ」
ぞろぞろとシャルティアの後に続いて王の間を出て行くクラスメイト。
誰も自分を見ていない事を確認して、俺は足下に転がっていた水晶の欠片を拾い上げる。
水晶は先程と同じ赤い光を放つ。
それを確認し、俺は自分にかけていた偽装を解く。
すると、水晶はまるで別人が触れたかの眩い光を放った。色は白。見る者によっては、銀色にも見える程に眩く混ざりっけのない純白の光を放っていた。
そして、突如水晶の欠片は粉々に砕け散った。
水晶が割れた理由は、俺の魔力量に耐えきれなかったからだ。
「‥‥」
結果を確認した俺は、再度偽装をかけ直し、クラスの連中を追い王の間を出て行った。
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