第5章 理由

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   しんと静まり返ったその場の空気を打ち破ったのは、意外にも篠宮さんだった。  しかし、そうは言ったものの、行き場所は分かっているのだろうか。 「勿論、昨日行った場所にですよ。置いてきたカメラも回収しないといけませんし」  ……ああ、やっぱり。  遠い目になる私をよそに、彼は至って軽やかな口調だ。  社長に至っては、すでに玄関先の廊下でお座りをしている。それを横目に彼は濱さんを見て言う。 「ひとつ訊きたいんですが――」       **
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