第5章 理由

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   ――午前八時。  昨日通ったばかりの山道を行く三人と一匹。  先頭を歩くのは勿論、篠宮さんと社長で、間に濱さんを挟み私という形だ。  獣道を下ったところにテープで仕掛けられた小型カメラを外し、篠宮さんは言う。 「ルーフ君がこの先のどこかにいるのは間違いないので、そこからは匂いを辿って行きます」 「匂いを?」  訝った濱さんの言葉に、社長が尻尾を振り「任せとけ」と言わんばかりのえへ顔……いや、笑顔を向ける。  爽やかな森林の空気と小川のせせらぎをよそに、私たちはルーフ君の消えた川上へと歩を進めた。  
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