6.当日

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「アキラ君?」 「違う」 「宮元先輩……?」 「それも違う。俺の名前、呼んで」 「翔平、君……?」 「なんでかさ、最近レナといるとアキラのあの感覚、分かる気がする。悔しいけど、遥の本、間違ってないのかも」 そう告げると、先輩は私を抱きしめ、優しく口付けた。それは今までしてきたキスが全部入っているようなキスで、角度を変え、深さを変え、何度も何度も繰り返す。 これは、愛しいキス、そう思ってもいいの? そして、深い深いキスのあと、そっと離れた。 「それも演技ですか?」 ちょっと照れた先輩のその顔は、どう見ても素の表情だったけど、恥ずかしいのと強がりとで、ついそんなことを言ってしまった。 すると先輩は小さく息をついて「いつも無反応だったくせに」と呟いてから、ゆっくりと意地悪な笑顔に変わり、私の耳元に顔を近づけた。 「分かるまで続けてみる?」 言葉が終わると同時に再び口が塞がれ、何も返事ができなくなってしまった。
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