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「あの、もうひとつだけ聞いていいですか? 先輩は、お芝居のヒロイン、OGの人のこと、好きなんですよね?」
「あぁ。好きだよ」
即答されて、胸が痛む。
やっぱり聞くんじゃなかった。
「だったら……」
「人として、尊敬してるし、憧れてる。ただ、先輩を思い出しても、声を聞いても、この役の心情は分からなかったから」
「それって……」
「俺もよく分かってないけど、でも、そういうことなんじゃない?」
軽く質問で返されてしまったけど。
宮元先輩、それがどういうことなのか、私にはよくわかりません。
「ただ、レナと過ごしてる時は自然と素の自分が出てた気がする。感覚ってそういうのも大切なんだってわかった」
言葉にならなくて、先輩が話すのを頷いて聞くしかできない。
「レナ、名前呼んで?」
先輩は台本を置いた。
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