6.当日

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「あの、もうひとつだけ聞いていいですか? 先輩は、お芝居のヒロイン、OGの人のこと、好きなんですよね?」 「あぁ。好きだよ」 即答されて、胸が痛む。 やっぱり聞くんじゃなかった。 「だったら……」 「人として、尊敬してるし、憧れてる。ただ、先輩を思い出しても、声を聞いても、この役の心情は分からなかったから」 「それって……」 「俺もよく分かってないけど、でも、そういうことなんじゃない?」 軽く質問で返されてしまったけど。 宮元先輩、それがどういうことなのか、私にはよくわかりません。 「ただ、レナと過ごしてる時は自然と素の自分が出てた気がする。感覚ってそういうのも大切なんだってわかった」 言葉にならなくて、先輩が話すのを頷いて聞くしかできない。 「レナ、名前呼んで?」 先輩は台本を置いた。
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